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OFFICE NOTE

【オフィス・ノート】
北の社労士が思いを馳せる徒然ノート
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セミナー報告

 SRアップ21北海道の主催で、平成28年8月12日、午後1時30分よりホテルロイトン札幌でセミナーを開催した後、東京本部宛に送った報告をアップします。

 

 ■セミナー内容  第一部「感情労働からハラスメント・メンタル不全予防へ」講師:水谷英夫(弁護士 仙台弁護  士会所属)  第二部「最近の労働裁判事例」(パワハラを理由とした懲戒処分無効確認訴訟)講師:淺野高宏

 (弁護士 札幌弁護士会所属)

 

 ■第一部   

 セミナーは、水谷弁護士が作成したレジメに基づき、「ハラスメントの実態」「ハラス  メントとは」「ハラスメントの法的責任」「ハラスメント・メンタル不全と使用者責任・  労災」「ハラスメントの対処法」「ハラスメントの予防」といった順で説明をしていただ きました。特に、ハラスメントの特徴として、(1)態様…「人権」侵害、(2)関係…「支配」の濫用→職場環境配慮義務違反、(3)被害…「感情」(心身)への攻撃→感情  管理労働への注目があることから、「人vs人」を中心とした職場における感情管理が強 く求められているにもかかわらず、従業員と使用者との間の労働関係において、このような事実が十分に認識されていないことは問題であるとの指摘を受けております。さらに、ハラスメントの予防として、CSRの推進、職場(教育)能率の推進等が考えられ、具体的には、職場における適切でオープンなコミュニケーション、意思決定への従業員の参加、多様性や個々のアイディア、人間性の尊重と公正な職務評価処置、適切な教育訓練等によるチームワークの涵養等により、組織内での対立の発生を未然に防止するこ  とが必要となってくるとの指摘を受けました。  

 

 今回の水谷弁護士によるセミナーは、当初、「感情労働」を主たるテーマとしたもので した。しかしながら講師の時間的制約及び「感情労働」そのものが抽象的概念を含んで いるものでもあり、現時点では、その重要性にもかかわらず、社労士に馴染みの薄いテ ーマであるとの判断から、ハラスメント予防実務に「感情労働」の知見を織り交ぜる形 を採らざるを得ませんでした。企業における「感情労働」に興味を抱かれた皆さまには、 水谷弁護士の著書である『感情労働と法』、『感情労働とは何か』は勿論のこと、A.R.ホ ックシールド著『管理される心−感情が商品になるとき』等、関連書籍に目を通される ことをお勧めします。ただし、感情労働研究には未開拓の分野が多くあり、コールセン ター業務などもその一例です。社労士としては、「人vs人」の業務に携わる際、共感疲 労なり、燃え尽きなり、感情の凍り付きがどのような条件において起きるのか、どのよ うにすれば感情労働従事者を支援することができるのか、どのようにすれば感情労働従 事者の業務の質を上げることができるのか等について考え、顧問先企業等に対する提案 等ができればよいと思っています(※)。

(※)石河准『ホックシールド「管理される心−感情が商品になるとき」』(日本労働研究雑誌No.669)

 

 ■第二部   

 本セミナーは、韓国における「感情労働」に対処する法規制の着手について、今年3月に韓国ソウル市を視察された淺野弁護士からの帰朝報告といった趣旨で企画されたも のです。 ソウル市では2014年3月に「ソウル市特別区勤労者権利保護及び増進のための条例」が施行されており、働き方改革として重要とされたのは、脆弱労働者への対策であり、 その中でも重点が置かれたのが感情労働でした。

 

 ソウル市ではサービス業に従事する労 働者が71%占めており、接客などで感情労働を求められる場面が多いとのこと。市では 地下鉄に感情労働への対策を呼びかけるポスターを貼るなどしているほか、感情労働に 従事している働き手を守る対策をとるよう、民間企業と市との間の了解覚書(MOU)による申し合わせを進めており、その数を増やそうとしています。MOUに基づき、各 企業は感情労働についてのガイドラインを設けること、客からの過度な要求でストレス を感じている多数の働き手を守るための接客マニュアルを作成すること、感情労働から くるストレスを減らす対策を取ったりすることなどが求められています。民間企業も市 の要請に同調しており、MOUを結んでいることは顧客の共感を得られて集客力が上が り、しかもアルバイト等を募集するとき、安心して働ける職場として良い人材を集めや すくなるといったメリットを享受しているようです。

 

 ただ、視察で得られた成果としては、感情労働に関するものではなく、むしろ労働委 員会における解雇紛争処理や市民向けワークルール教育の実施状況などであったとの とです。特にワークルール教育については、昨年6月からソウル市内の学校(小、中、 高校)へ出前授業を開始し今年3月末時点で、なんと2353回もの出張授業を実施し たとのこと。講師は、労務士(日本でいうところの社労士)、労働組合の役員、労働相談 員等218名が担っており、講師料は市と区の予算から平均時給2万5000円を支払って いるとことでした。学校での授業内容は平均1時間程度で、ソウル市が2013年9月に 発表した『ソウルアルバイト権利章典』を紹介するとともに、労働契約書の書き方、割 増賃金が支払われない場合にはどこに救済を求めるか、といった実践的な事項を扱って いるとのことでした。  

 

 セミナーのメインテーマは、淺野弁護士が実際に原告側弁護士として関わった学校法 人T大学事件におけるパワハラ事案について、会社はどのように職場環境の調整を行う べきなのか、また競争関係にある同僚同士の能力評価をめぐる言動などがパワハラに当 たるとされた事案をもとに、事実調査の在り方、裁判所のハラスメント事案についての 考え方、懲戒権行使の在り方等についてのものでした。特に、同僚間のパワーハラス メントの優位性をどうとらえるべきか、准教授という専門職における議論の場の言動が パワーハラスメントに当たるか、といった問題提起は社労士にとっても予防的措置をとる意味でも考えておく必要があると思われました。  

 

 なお、淺野弁護士とは、SRアップ21北海道の会員有志とともに来年3月、韓国ソウ ル市を訪問し、弁護士ファーム(労務士含む)等と交流会を開催する準備をしておりま す。  

 

 映像は、フランスのケルティック・バンドDoolin’です。曲は、トラッドではなく、ボブ・ディランの初期の作品「ホリス・ブラウンのバラッド(Ballad of Hollis Brown)ですね。元ソーラスのジョン・ドイルがプロデュースしているそうで、さっそくCDを注文しました。

| 仕事 | 10:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
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